パース図は建築物やインテリアの完成イメージを立体的に表現できますが、どのような手順で制作できるのでしょうか?パース図の制作方法には手書きとCGソフトがあり、それぞれの手順は異なります。そこで本記事では、パース図の種類や手書き・CGソフトで制作する方法について詳しく解説します。
パース図とは?

パース図とは、建築物やインテリアを立体的に表現した透視図です。施工前に、空間の奥行きやデザインを具体的にイメージできるため、設計者・施工者・施主の間で仕上がりのイメージを共有するために活用されています。ここでは、パース図の用途や種類、制作方法について詳しく解説します。
主な用途
パース図の主な用途は、住宅建築や不動産販売、インテリアデザインなどです。施工前の建築物やインテリアの完成イメージをわかりやすく伝えられます。
| 主な用途 | 使い方 |
| 住宅建築 | 設計段階で、施主に空間の雰囲気やデザインを説明するため |
| 不動産販売 | 住宅展示場のパンフレットや分譲マンションの広告など |
| インテリアデザイン | 内装材や家具、照明などを検討するため |
以上のように、パース図は完成前のイメージを可視化する重要なコミュニケーションツールです。
種類(外観図・内観図と鳥瞰図・虫瞰図)
パース図には、対象やアングルに応じていくつかの種類があります。
| パース図の種類 | 特徴 |
| 外観図 | 建築物の外側を対象に、外装の素材や色合いなどを表現する |
| 内観図 | 建築物の室内空間を対象に、内装材や家具配置、照明などを表現する |
| 鳥瞰図 | 建築物を上から見下ろすアングルで、敷地全体や周辺環境などを表現する |
| 虫瞰図 | 建築物を下から見上げるアングルで、高さや迫力を強調して表現する |
パース図の種類を使い分けることで、建築の意図をより正確に伝えられるのです。パース図の種類について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
制作方法(手書きとCGソフト)
パース図の制作方法には、「手書き」と「CGソフト」の2種類があります。
| パース図の制作方法 | 表現の特徴 | 活用場面 |
| 手書き | 温かみや個性があり、デザイナーの感性を直接伝えられる | コンセプトの提案や初期段階のイメージ共有など |
| CGソフト | リアルな質感や光の反射で、より現実に近いイメージを再現できる | 最終プレゼンや広告用の完成イメージなど |
手書きとCGソフトでは表現の特徴が異なるため、制作目的や活用場面などに応じて使い分けることが大切です。
パース図を手書きする方法

手書きのパース図でも、建築物やインテリアを立体的に表現できます。透視図法を理解すれば、鉛筆や定規を使ってパース図を描けるようになるのです。ここでは、一点透視図法・二点透視図法・三点透視図法の3つをご紹介します。
一点透視図法と二点透視図法の違い
一点透視図法は、奥行きを1つの消失点で表現する最も基本的な描き方です。たとえば、正面から見た部屋の奥行きを表現するために使われます。壁や天井、床の線がすべて1つの点(消失点)に向かって収束していくことで、遠近感を自然に演出できるのです。初心者でも理解しやすく、建築物の廊下やリビングなどの正面構図に向いています。
二点透視図法は、建築物を斜めの角度から見るときに用いられる方法です。2つの消失点を使って描くことで、左右の奥行きを同時に表現できます。建築物の立体感がより強調され、実際の視点に近い自然なパース図です。建築物の外観や室内のインテリアを斜めから見せたい場合に適しています。
一点透視図法と二点透視図法を手書きする方法については、次の記事に詳しくまとめてありますのでご覧ください。
三点透視図法
三点透視図法は、建築物を見上げたり見下ろしたりする構図に使われる方法です。縦方向にも消失点を設けることで、よりダイナミックで迫力のある立体感を表現できます。
- 水平線(アイレベル)を引いて、目線の高さを設定する
- 画面の両端と水平線の上下どちらかに合計3つの消失点を設定する
- 建築物やインテリアの基準となる角(頂点)を決める
- 角(頂点)から3つの消失点へガイドラインを引く
- 建築物やインテリアの上下どちらかと左右の面を描く
- 建築物やインテリアの高さと奥行きのバランスを調整する
- 細部(建築物の屋根・外壁・窓や室内の床・天井・家具・照明など)を描き込む
- 不要な補助線を消し、全体のバランスを整えて仕上げる
線の処理が複雑になりますが、練習を重ねれば自然な遠近感を再現できます。三点透視図法は、高層ビルを上空から見下ろす「鳥瞰図」や地面から見上げる「虫瞰図」などに用いられる透視図法です。
パース図をCGソフトで制作する手順

近年、パース図の制作では手書きよりもCGソフトを使うケースが主流です。CGソフトを使えば、素材や光の反射などをフォトリアルに表現でき、完成後の建築物やインテリアを正確にイメージできます。ここでは、CGパースを制作する基本的な手順を解説します。
設計図の準備
最初に、正確な設計図を準備することが必要です。建築図面(平面図・立面図・断面図など)をもとに、パースのベースとなるデータを用意します。
CADソフト(AutoCADやRevitなど)のデータを使用すれば、寸法が正確な3Dモデルを効率よく作成できます。図面があいまいだと、レンダリング後の修正に時間がかかるため、最初の準備段階で正確な情報を整理することが成功のカギです。
紙の図面しかない場合でも、スキャンして下絵として取り込むことができます。
3Dモデリング
設計図に基づいて建築物やインテリアを立体化する工程が、3Dモデリングです。建築物の外壁・屋根や室内の壁・床・天井などを作成していきます。
3Dモデリングソフトによっては既存のライブラリを活用できるため、作業効率が高まります。モデリング段階では、建築物全体のプロポーションや室内空間のバランスなどを意識しながら進めることが大切です。
完成後の見栄えに大きく影響するため、3Dモデリングの精度がパース図の品質を左右します。
マテリアル・照明・時間帯・アングルなどの設定
3Dモデルが完成したら、マテリアル(質感)や照明、時間帯、アングルなどを設定します。
| パース図の設定内容 | 設定のポイント |
| マテリアル | 壁材や床材のテクスチャ、金属やガラスの反射などをリアルに再現することで、実際の建築物やインテリアに近い印象になる |
| 照明・時間帯 | 光の差す方向や明るさを設定して、影の出方を調整する |
| アングル | パース図の印象を大きく左右するため、見せたいポイント(外観・内観・高さなど)を意識する |
以上の設定を丁寧に行うことで、リアルで臨場感のあるパース図を作ることが可能です。
レンダリング
設定が整ったら、レンダリングを行います。レンダリングとは、光や影、反射などをコンピューターで計算し、最終的な画像を出力する工程です。
高解像度でリアルな仕上がりを求めるほど、レンダリングの処理時間は長くなります。最近では、LumionやTwinmotionなど高性能なレンダリングエンジンを利用することで、短時間でフォトリアルな画像の出力が可能です。
レンダリングした画像を確認し、明るさや陰影のバランスを見ながら最終調整を行います。
レタッチ
レンダリング後の仕上げ作業が、レタッチです。Photoshopなどの画像編集ソフトを使い、色味や明暗を調整したり、人物・植物・空などの要素を追加したりして、より自然な雰囲気に整えます。
レタッチの目的は、クライアントに伝えたい「印象」や「雰囲気」を演出することです。特に広告やプレゼンに使用する場合は、パース図に柔らかい光や生活感のある小物を加えることで説得力が増します。
レタッチは、設計の意図をより美しく伝える最後の一手になります。
パース図に関するよくある質問

パース図を制作する際は、内製化か外注のどちらかの体制を選ぶことになります。ここでは、パース図に関するよくある質問として、内製化と外注のメリット・デメリットを解説します。
内製化するメリット・デメリットはありますか?
パース図を内製化するメリットは、コスト削減やスピード対応などです。社内にデザイン担当者がいれば、打ち合わせ内容をすぐ反映でき、外注に比べて修正も柔軟に行えます。また、制作工程を自社で管理できるため、情報流出のリスクが少ないです。
一方で、専門スキルやソフトの導入コストが必要になることは、内製化のデメリットです。高品質なパースを作るには経験と時間がかかるため、業務負担が増える点を考慮しなくてはなりません。
継続的に案件を抱えている場合は、社内の制作体制を整えてパース図を内製化する価値があります。
外注するメリット・デメリットはありますか?
外注するメリットは、プロの技術力によって高品質なパース図を短期間で制作できることです。特にCG制作会社や建築パース専門会社では、リアルな質感や照明の表現に優れており、クライアントへの提案資料として説得力を高められます。また、社内のリソースを圧迫せず、本業に集中できるのもメリットです。
ただし、外注には費用がかかり、ヒアリングや修正依頼などのやり取りに時間を要します。希望のイメージを正確に伝えられないと、仕上がりが期待と異なることもあります。
短納期で高品質な成果を求める場合や社内リソースが限られる場合は、外注を活用すると効果的です。
パース図の制作方法を検討しよう
パース図は、建築物やインテリアの完成イメージを伝える重要なツールです。内製化と外注のメリット・デメリットを把握した上で、自社の用途や予算・納期に合う制作方法を選びましょう。
シカクビューでは、用途や設計の意図に適したパース図を制作しています。CGパースはもちろん、手描きパースや作図、照明のシミュレーションなど、お客様の幅広いニーズに応えるデザインをご提案します。外観や内観、照明などに精通したパースの制作会社を探している方は、ぜひご相談ください。