パースの書き方を詳しく解説!図法や用語もわかりやすく紹介

内観パース

イラストや建築図、背景画などで奥行きが感じられないと、どうしても平面的な印象になってしまいます。

そんなとき頼りになるのが「パース」の技術です。正しくパースの書き方を把握しておけば、立体的で説得力のある画面をスムーズにつくれます。

この記事では、遠近法の種類・知っておきたい用語・具体的な図法・そして手書き・CGそれぞれの書き方を紹介します。

パース制作を依頼したい方や書き方を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

パースとは

オフィス内装

パースとは、英語の Perspective(パースペクティブ)を略した言葉で、透視図(遠近法)を意味します。

近くにあるものを大きく、遠くにあるものを小さく描いて奥行きを出す技術です。

背景画・建築パース・イラスト・漫画など幅広く用いられており、ただ物を描くだけではなく、見る人に空間の広がりや立体感を与えるための手法です。

またパースの書き方をマスターすると、構図やアングル選びの自由度も高まり、表現の幅が広がります。

パースについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。

パースとは?パースの種類や制作方法、メリットを詳しく解説

遠近法の種類

遠近法にはいくつか種類がありますが、代表的なのが「遮蔽遠近法」「空気遠近法」「線遠近法」の3つです。

それぞれの特徴を理解して使い分けることで、より奥行きのあるイラストや建築パースを描けるようになります。

ここでは、それぞれの違いと使い方をわかりやすく解説します。

遮蔽遠近法

遮蔽(しゃへい)遠近法とは、手前にある物体が奥にある物体を部分的に隠すことで、近い・遠いの関係を示す技法です。

例えば、イラストの中で手前に大きな木を描き、その後ろに建物の一部だけを見せるとします。木が建物を一部隠すことで、見る人は自然に「木は手前にあり、建物は奥にある」と感じます。

このように、重なりを活用して奥行きを演出するのが遮蔽遠近法です。

空気遠近法

空気遠近法は、遠くの様子ほど輪郭がぼやけ、色が淡く青味を帯びて見える現象を利用して奥行きを表す方法です。

山並みや大都市のビル群など、遠くほど霞んで見える様子を絵に取り入れることで、手前の物体と比べて遠くにあるという印象が強まります。

線遠近法

線遠近法は、紙の上に設定した消失点に向かって線を引くことで、立体的な奥行きを作る技法です。

道路が奥へ向かって細くなるように見える、建物の壁が一点に集まるように見える、という視覚的な収束が線遠近法の特徴です。

特に背景や建築などの空間を描く際には、この線遠近法を基に構図を組むことが多くなります。

パースを理解するための基本用語集

マンションの外観

パースを正しく描くためには、基本となる用語の意味を理解しておくことが大切です。「アイレベル」や「消失点」「地平線」などの言葉は、遠近法の仕組みを理解するうえで欠かせないキーワードです。

これらの用語をきちんと押さえておくと、空間の奥行きや構図のバランスをコントロールしやすくなり、よりリアルで説得力のあるイラストや建築パースを描けるようになります。

ここでは、パースを描くときによく使われる代表的な用語をわかりやすく解説します。

アイレベル

アイレベルとは、視点の高さ=観察者の目線の高さです。例えば、人物と同じ目線で描くときはアイレベルをその人物の目の高さあたりに設定します。

アイレベルを高くすれば上から見下ろす視点になり、低く設定すれば下から見上げる視点になります。

このラインを意識することが、遠近感・構図の印象を決める大切なポイントです。

パースライン

パースラインとは、消失点に向かって引く線のことです。線遠近法を用いる際、対象となる物体から消失点へと向かって線を延ばすことで、空間の収束感が出せます。

消失点

消失点は、遠近感を表すために用いる線が画面上で収束する点を指します。

建物の壁や道路の線が奥へ進むにつれて斜めに狭まり、遠くの一点で交わって見えるとき、その交わる位置が消失点です。

消失点の数と位置によって、一点透視・二点透視・三点透視といった図法が変化します。

視心

視心とは、観察者の目の位置からまっすぐ伸びる視線の先にある点のことです。視心と消失点の位置が重なると、一点透視図法の構図になります。

フレーム

フレームとは、観察者から見える画面の範囲のことを指します。イラストで言えば、描くスペースを囲むキャンバスの枠線のようなものです。

構図を考えるときは、このフレーム内のどの位置にモチーフを配置するかが重要になります。

地平線

地平線は、遠近法で視線の高さを示す水平のラインを指します。空と地面を分ける境界線でもあり、画面の印象を大きく左右する重要な要素です。

地平線を中央に配置すると、空と地面の割合が均等になり、落ち着いた印象の構図になります。

一方で、地平線を高めに設定すると視点が上がり、地面の広がりや奥行きが強調されます。

反対に、地平線を低くすると見上げているような迫力ある構図になり、建物や人物をより大きく印象づけることが可能です。

パースの書き方

内観パース

パースを描く方法には、大きく分けて手書きパースとCGパースの2種類があります。どちらも「奥行き」や「立体感」を表現する目的は同じですが、使う道具や工程が異なります。

手書きパースは、紙やデジタルツール上で線を引きながら構図を作る方法で、アナログな感覚で構成を掴みやすいのが特徴です。

一方、CGパースは3Dソフトを使って作成し、よりリアルな質感や光の表現が可能です。

ここでは、それぞれの特徴を踏まえながら「一点透視図法」「二点透視図法」を用いた手書きパースの書き方、CGパースの制作手順を解説します。

手書きパースの書き方

手書きパースは、空間を正確に描く練習に最適な方法です。紙・鉛筆・ペン・水彩・ブラシを使って制作します。

まずは奥行きをシンプルに表現できる「一点透視図法」から始め、慣れてきたら角度のある構図が描ける「二点透視図法」に挑戦しましょう。

一点透視図法の場合

  1. まず、1m単位のマス目を設定し、それを基準に壁の位置を決めて線を引きます。
  2. 消失点を設定し、その点から壁の四隅へ向かって補助線を伸ばします。
  3. 手前側に床のマス目ラインを描き込み、奥行きを出します。
  4. 床の斜め方向にも補助線を引き、交わる点をもとにマス目を整えていきます。
  5. 補助線を目安にしながら、家具を上から見た平面図のように配置します。
  6. 家具の位置をもとに箱状の立体を描き、薄い下描きで形を整えます。
  7. 形が決まったら、主要な線を濃くなぞって輪郭をはっきりさせます。
  8. 立体感を出すために、光の反対側となる面に影を描き入れます。
  9. 補助線を参考に、窓の位置を決めて描き込みます。
  10. 影の濃淡を調整し、カーテンや照明などの細部を加えます。
  11. 最後に、窓の外の風景や背景を描き足し、全体に色をのせて完成です。

この手順を踏むことで、比較的簡単に奥行きのある空間が描けます。

二点透視図法の場合

  1. まず、視線の高さを示す水平線を引き、その上に2つの消失点を設定します。
  2. 建物の大まかな形を、立方体や長方体で軽く描き出します。
  3. 外観のデザインに合わせて、窓や柱などの要素を追加していきます。
  4. 消失点から補助線を伸ばし、奥行きや角度を整えながら建物の構造を描きます。
  5. 屋根やドアなどの特徴的な部分を際立たせて形をまとめます。
  6. 質感や細部を加えてリアルさを出します。
  7. 仕上げに色を重ね、全体の雰囲気を整えて完成です。

二点透視を使うと、角度がついた建物や街並みのような立体表現が可能です。

CGパースでの書き方

CGでパースを描く際には、手書きとは異なる一連の工程が用いられます。

  1. まず「設計図」を準備します。平面図・立面図・断面図などから寸法・形状を読み取ります。
  2. 次に3Dモデルを作成します。壁・床・天井など基本構ができたら、家具や人・環境を入れていきます。
  3. 素材や照明の設定を行います。壁のテクスチャや照明の配置・時間帯・天候などを調整してリアルな雰囲気を演出します。
  4. レンダリングを行い、3Dシーンを2D画像として出力します。品質設定や影・反射などをここで決めます。
  5. 最後に画像編集ソフトで色調整・シャープネス・文字入れ・フォーマット設定を加えて仕上げます。

CGによるパースは、手書きには出せない精密さと立体感が強みです。建築のプレゼンや精緻な背景画などには特に向いています。

まとめ

パースは、絵や建築図に立体感と奥行きを与えるための重要な技法です。遮蔽・空気・線遠近法などの種類を理解し、アイレベルや消失点などの基本用語を押さえることで、より自然で説得力のある構図が描けます。

シカクビューは、「光にこだわるCGパース」をテーマに、空間のリアルな光や質感を再現しています。

画面がなくてもイメージ写真やスケッチから制作でき、コンセプト設計や照明シュミレーションにも対応可能です。

また、電話のみでの打ち合わせもできるため、忙しくて時間がない方や遠方の方でも安心して依頼できます。

パースの依頼を検討している方や、遠方でもスムーズにプロジェクトを進行したい方は、ぜひシカクビューにご相談ください。

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