パースのアイレベルとは?重要性・種類・決め方などを解説

パースのアイレベルとは?重要性・種類・決め方などを解説

パース制作では、アイレベルを適切に設定できないと、スケール感やリアルさに違和感が生じてしまいます。どのようにアイレベルを決めれば良いのでしょうか?

そこで本記事では、パースのアイレベルの種類や決め方を解説します。消失点との関係性や構図に与える影響などもまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。

パースのアイレベルとは?

パースのアイレベルとは?

パースのアイレベルとは、見る人の目線の高さを示す基準線のことです。アイレベルの設定次第で、内装空間の広さや天井高、建物外観の迫力などの印象が大きく変わります。ここでは、パースのアイレベルの重要性や消失点との関係性、構図に与える影響について詳しく解説します。

重要性

パースのアイレベルは、「見る人が現場に立っている感覚を持てるかどうか」を決める重要な要素です。アイレベルが極端に高すぎたり低すぎたりすると、実際のスケール感とズレが生じ、違和感を覚えやすくなります。

例えば、住宅の内観パースで、立っている人の目線に近い高さにアイレベルを設定すると、部屋の広さや家具の配置を想像しやすくなります。一方で、アイレベルが不自然だと「実物より狭そう」「天井が低く感じる」といった誤解を招いてしまうのです。

したがって、アイレベルは、パースのリアリティを高めるために欠かせません。自然な位置にアイレベルを設定することで、現実感を与えやすくなります。

消失点との関係性

アイレベルは、消失点の位置を決める基準です。透視図法では、アイレベル上に消失点が配置されます。アイレベルが曖昧だと線の収束先が定まらず、奥行きの表現が不安定になってしまうのです。

例えば、内観パースで床や天井のラインが違う点に収束していると、空間が歪んで見えます。反対に、アイレベルを明確にし消失点を揃えると、壁や床の奥行きを自然に表現できます。

アイレベルと消失点の関係性を理解することで、自然で安定感のあるパースを表現しやすくなるのです。パースの消失点については、次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

構図に与える影響

アイレベルは、構図のバランスや視線誘導に影響を与えます。目線の高さによって、強調される要素が変わるからです。低い位置から見上げれば内装空間や建物の高さが目立ち、高い位置から見下ろせば空間の広がりや動線が強調されます。

例えば、商業施設の外観パースでは、アイレベルを少し低めに設定することで、開放感やスケールの大きさを印象づけられます。一方で、住宅の内観パースに日常感を出すためには、自然な目線の高さが適しているのです。

どこを見せたいかを明確にし、目的に合う構図を決めるために、アイレベルの設定が重要です。建築パースの構図については、次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

パースのアイレベルの種類

パースのアイレベルの種類

パースのアイレベルにはいくつかの種類があり、目線の高さによって建物や内装空間の印象が大きく変わります。用途や伝えたいイメージに合わせてアイレベルを選ぶことで、説得力のあるパースを表現しやすくなります。

高い目線(ハイアングル)

高い目線(ハイアングル)は、パースの全体像や各要素の位置関係をわかりやすく伝えたいときに有効です。目線が高くなると、床面や平面の構成が見渡しやすくなり、空間のつながりや動線を把握しやすくなります。情報量を整理して見せたい場合に向いているアングルです。

内観パースでは、少し高めにアイレベルを設定することで、家具の配置やフロアの動線を一目で理解しやすくなります。ただし、利用者の視点から離れすぎると、実際に立ったときの印象を想像しにくくなる点には注意が必要です。

外観パースでも、高い目線は有効です。俯瞰から建物を見下ろすことで、敷地全体と建物の位置関係や周辺道路・隣接建物との距離感などを伝えやすくなります。特に、分譲住宅や都市開発などでは建物単体だけでなく、敷地全体を含めて説明しやすくなるのです。

したがって、高い目線(ハイアングル)は、全体像を把握させたいときに効果的なアイレベルです。

中間の目線(水平のアングル)

中間の目線(水平のアングル)は、自然で汎用性のあるアイレベルです。人が立って空間を見るときの目線に近いため現実感があり、完成後のイメージを直感的に理解しやすくなります。違和感が出にくく、幅広い用途に対応できるアングルです。

内観パースには、一般的に水平のアングルが適しています。なぜなら、床に人が立ったときの目線で描くことで、天井高や家具の大きさなどを実感しやすくなるからです。室内にいる自分の姿を想像しやすくなります。

外観パースにおいても、中間の目線を使用できます。建物の前に人が立って眺めるときの目線に近いため、ファサードのデザインや開口部のバランス、スケール感をリアルに伝えられるからです。

アイレベルの設定に迷ったときは、中間の目線を基準にするとパースを制作しやすくなります。

低い目線(ローアングル)

低い目線(ローアングル)は、建物や内装空間の高さや迫力を強調したいときに適しています。目線を低く設定すると、天井や壁の立ち上がりが強調され、ダイナミックに見えるからです。

内観パースでは、天井のデザインや吹き抜け構造、間接照明などを印象づけたい場合にローアングルが効果的です。目線をやや低くすることで、空間の開放感や高さを印象づけられます。

外観パースでも、見上げる構図にすると建物の存在感を強調できます。ただし、アイレベルが低すぎると実際の見え方とかけ離れた印象になるため、パースの用途に応じて調整することが重要です。

低い目線(ローアングル)は、魅せたい中心要素を際立たせるために効果的なアイレベルです。

パースのアイレベルの決め方

パースのアイレベルの決め方

パースのアイレベルを決めるときは、感覚だけではなく、用途や中心要素、図面に合わせて調整することが大切です。判断基準を明確にすることで、説得力のあるパースに仕上がります。

用途に合う見せ方(構図・アングル・透視図法)を検討する

パースのアイレベルを決めるときは、用途に合う見せ方を検討するのが基本です。パースは完成後のイメージを伝える資料であり、鑑賞用の絵画とは異なります。設計確認やコンペ、販売促進、ブランディングなどの用途に応じて、適した構図やアングル、透視図法が変わります

例えば、住宅の内観パースで利便性や快適性を伝えたい場合は、各部屋の動線を見せる構図で、水平のアングルと一点透視図法または二点透視図法を選ぶと効果的です。

高層ビルのスケール感を強調したい外観パースでは、歩行者から最上階まで収まる構図で、低い目線と二点透視図法または三点透視図法を組み合わせることで迫力が出ます。

パースの用途を明確にすることで、アイレベルの方向性が見えてきます。透視図法の種類については、次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

中心要素を基準に目線の高さを調整する

用途に合う見せ方を決めたら、中心要素を基準に目線の高さを調整すると構図が安定します。中心要素に自然と視線が集まるように目線を設定しないと、「何を伝えたいパースなのか」が伝わりにくくなってしまうのです。

例えば、同じリビングの内観パースでも、空間の利便性と快適性を伝えたいときは、ソファやダイニングテーブルを使用するときの目線に合わせると、家具のサイズ感や配置が理解しやすくなります。

一方で、天井の高さやデザイン性を強調したいときは、やや低めのアイレベルにすることで自然と視線が上を向きます。中心要素を基準にしてアイレベルを調整することで、設計の意図や魅力を伝えやすくなるのです。

図面との整合性を確認する

アイレベルを決めたら、必ず図面との整合性を確認することが重要です。パースは図面をもとに作成されるため、目線の高さやスケールが図面と合っていないと、完成後に誤解を招くおそれがあります

見た目が良くても、実際の寸法とズレていては、信頼性を下げてしまうのです。例えば、アイレベルを下げ過ぎて、天井高や窓の位置が図面より高く見えてしまうと、完成後に異なる印象を与えてしまいます。

違和感を与えないためには、断面図や立面図を確認しながら、目線の高さが現実的かをチェックすることが必要です。図面との整合性を意識することで、実務に役立つパースを制作しやすくなります。

パースのアイレベルに関するよくある質問

パースのアイレベルに関するよくある質問

パースのアイレベルを決めるときには、外観パースと内観パースの違いや注意点などに関する疑問を抱くものです。ここでは、よくある質問を集めましたので、一般的な回答をご紹介します。

外観パースと内観パースでアイレベルの決め方は変わりますか?

基本的には、外観パースでも内観パースでも、アイレベルの決め方は同じです。用途や中心要素、図面との整合性を検討しましょう。

ただし、外観パースと内観パースでは、対象物を見る人の立ち位置が異なるため、アイレベルを決めるときに重視するポイントが異なります。

パースの種類立ち位置重視するポイント
外観パース対象である建物の外
(屋外)
見た目の印象
(建物の存在感や周辺環境との関係性など)
内観パース対象である建物の中
(屋内)
利用体験のリアルさ
(内装空間の広さや利便性など)

外観パースと内観パースの違いについては、次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

アイレベルを決めるときの注意点はありますか?

アイレベルを決めるときは、不自然な目線や情報過多にならないように注意してください。理由としては、目線が高すぎたり低すぎたりすると、実際の見え方とズレが生じやすくなるからです。また、伝えたい要素が多すぎると、視点が定まらなくなります。

例えば、内観パースで極端に目線を高く設定すると、床が目立ち、壁や天井のデザインを把握しにくくなります。逆に、低すぎる目線では、天井高を強調できますが、空間の広がりや動線が伝わりません。

「何を一番伝えたいか」を決めておくことで、適切な目線に調整しやすくなります。用途に合うアイレベルに調整することが、リアルで自然なパースを制作するためのポイントです。

アイレベルが定まらないとどうなりますか?

アイレベルが定まらないパースは違和感を与え、現実感が薄らいでしまいます。遠近感がなくなり、空間が歪んで見えるためです。パースを見る人が違和感を覚えると、内容が伝わりづらくなります。

例えば、壁や床のラインがそれぞれ違う高さに収束しているパースには、不自然さを感じます。設計の内容ではなく、表現の問題ばかりが印象に残ってしまいます。

最初にアイレベルを決めることで、リアルでわかりやすいパースを制作しましょう。

パースの魅力を引き出せるようにアイレベルを決めよう!

パースのアイレベルは、空間の印象や伝わり方を左右する重要な要素です。用途や見せたいポイントを意識して目線を設定することで、設計の意図や魅力が伝わるパースに仕上がります。

シカクビューでは、設計や用途に適した建築パースを制作しています。

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シカクイズム合同会社 代表社員 中井 慶太
この記事の監修者

シカクイズム合同会社 代表社員

中井 慶太

1983年生まれ、熊本県熊本市出身。照明デザイン事務所の共同経営を経て、2018年に個人事業として開業。2022年にシカクイズム合同会社を設立。

照明設計で培ったノウハウと3DCG技術を融合させた独自のCGパースが高い評価を受け、CGパース事業「SHIKAKU VIEW」やインテリアデザイン事業「SHIKAKU DESIGN」へと事業を拡大。

業界歴9年、パースの制作実績5,400件を誇り、空間設計からビジュアライズまでを一貫して手がけるデザインの専門家として、住宅から商業施設まで幅広いプロジェクトに携わっている。

照明データを反映させた臨場感のあるCGパース制作を得意とし、感性と技術の両面からクライアントの空間づくりを支えている。