建築パースにおいて、構図は空間の魅力や意図を正しく伝えるために欠かせない要素です。本記事では、構図の種類や効果的に見せるためのポイントをわかりやすく解説します。
建築パースの構図とは?

建築パースの構図(パース図の構成)とは、「建物や内装空間をどのように配置し、どこを強調するか」を決める作業です。
構図を整えることで、建築パースに配置される建物や内装空間の特徴が伝わりやすくなり、見る人にとって理解しやすくなります。例えば、対称性のある建物なら中心を強調する構図が適切で、開放感を表現したい場合は広がりを感じる角度が効果的です。
構図を工夫することで、建築パースがより魅力的に仕上がります。
建築パースの構図の種類

建築パースの構図には、建物や内装空間の魅力を引き出すための基本的なパターンがあります。構図の違いを理解すると、建物や内装空間の特徴や雰囲気をより的確に表現できるようになります。ここでは、代表的な構図の種類を確認しておきましょう。
二分割・三分割
二分割・三分割は、建築パースで採用されやすい基本的な構図です。画面を均等に区切ることでバランスが取りやすく、主役となる建物や内装空間を自然に引き立てられます。
| 構図の種類 | 特徴 |
| 二分割構図 | 画面を縦または横に均等に二等分する構図で、建物・内装空間の正面や水平・垂直ラインを強調しやすい |
| 三分割構図 | 画面を縦横に三等分した線の交点に重要な要素を配置すると、視線が自然に誘導され、落ち着いた印象が生まれる |
写真やデザインでも広く使われ、初めてパースを描く人でも応用しやすい構図です。
シンメトリー
シンメトリーは、左右または上下が対象になるように要素を配置する構図です。整然とした印象を与えたいときに効果的で、建物や内装空間の美しさや安定感を強調できます。
人間は対称の構図に安心感や秩序を感じやすく、特に正面性を持つ建築設計との相性が良いです。例えば、ホテルのエントランスやクラシックな建築物のパースをシンメトリーの構図で描くと、重厚感や格式高さを表現できます。
建物の存在感を際立たせたいときに適した構図です。
黄金比
黄金比は、約1:1.618の比率を用いて要素を螺旋形に配置する伝統的な構図です。自然で美しいバランスを生み出し、図面の構成に取り入れるだけで洗練された印象を与えられます。
人間の視覚は、黄金比に調和や安定を感じやすいです。例えば、建物のメインとなる部分を黄金比の分割ラインに合わせると、人工物であっても自然な美しさを表現できます。
上質さやデザイン性を表現したいときに向いている構図です。
対角線
対角線は、奥行きや動きを強調したいときに適した構図です。図面の端から端へ斜めに走るラインが視線を誘導し、空間の広がりや立体感をわかりやすく伝えられます。
斜めのラインが図面にリズムを与えるため、単調になりやすい構図でも動きのある表現が可能です。例えば、道路やアプローチを対角線上に配置すると、建物へ導かれるような視線の流れが生まれ、躍動感のあるパースに仕上がります。
ダイナミックさや奥行きを重視したい場合に有効です。
三角
三角は、安定感と視線の誘導を同時に実現しやすい構図です。三角形は非常に安定しており、視線を自然に頂点へ導く性質があります。
住宅や公共施設などの幅広い建築パースに活用できます。例えば、建物の屋根や階段のラインが三角形をつくるように構図すると、メインパーツに視線が集まりやすくなるのです。
落ち着きとまとまりのある表現に向いています。
放射
放射は、複数のラインを一点へ集めて、視線を集中させる構図です。建物や内装空間の中心性や迫力を強調したいときに効果的で、インパクトを与えます。
視線が中心へ向かって収束するため、メインパーツを強調できます。例えば、廊下や柱が並ぶ空間では、自然に放射状のラインが生まれ、奥への広がりや勢いを表現できるのです。
視覚的な印象を強くしたい場面で活躍する構図です。
トンネル
トンネルは、まるでトンネルの中を進んでいるような遠近感を表現できる構図です。周囲の壁や天井が視線を中央の奥へ導き、奥行きを最大限に感じさせます。
アーケードや長い廊下を描くときにトンネル構図を使うと、空間の深さを強調しやすくなります。また中央へ向かう収束感が生まれるため、印象的でドラマ性のある表現も可能です。
強い遠近感を出したいシーンに適しています。
建築パースの構図を決めるときのポイント

建築パースに適切な構図を選択するためには、主題や遠近法、アングル、アイレベル、添景などのポイントを押さえることが大切です。ここでは、初心者でも理解しやすいように構図を決めるときのポイントを詳しく解説します。
主題
建築パースでは、主題(見せたいポイント)を明確にすることが構図づくりの土台になります。主題が曖昧だと視線が分散し、建物の魅力や意図が伝わりにくくなるためです。
例えば、「玄関の広さを強調したい」「リビングに光が入る様子を伝えたい」といった目的がある場合、見せたい要素を自然と目に入る場所に配置することで、視線を正しく誘導できます。
また、主題と他の要素のバランスを取ることで情報過多にならず、落ち着いたパースに仕上がります。主題は構図全体を決める中心として、最初にハッキリさせることが重要です。
遠近法(消失点)
建築パースの構図を決めるときは、遠近法(消失点)の扱い方が印象を大きく左右します。なぜなら、消失点をどこに置くかによって、奥行きの強さや空間の広がりが大きく変わるためです。
| 図法 | 一点透視図法 | 二点透視図法 | 三点透視図法 |
消失点の数 | 1点 | 2点(左右に1点ずつ) | 3点(左右1点ずつと上下どちらかに1点) |
| 特徴 | ・正面の壁が画面と平行 ・奥へ収束し強い奥行きを表現 | ・横方向の遠近感 ・角(エッジ)が手前 ・自然で一般的 | ・横方向と縦方向の遠近感 ・大きなスケール感と迫力 |
| 用途 | ・正面性の強い建築物 ・廊下・通路・アプローチ ・室内の正面カット | ・建物全般の外観 ・住宅・商業施設などの内装空間 ・立体感を出したい街並み | ・俯瞰や仰瞰の高層ビル ・高さを強調する吹き抜け ・インパクトを出したエントランス階段 |
建物の特徴や強調したい部分によって消失点の数と位置を使い分けることで、より説得力のあるパースになります。透視図法の書き方については、次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。
アングル
アングル(視点の角度)も、建築パースの印象や雰囲気を決定づける重要な要素です。視点の向きを少し変えるだけで、建物や内装空間のスケール感や存在感が大きく変化します。
| アングル | 特徴 |
| 斜め | ・立体感が出やすく、全体の形状がわかりやすい ・建物の角(エッジ)が見え、空間の奥行きを伝えやすい ・実際に見たときの自然な視点に近い |
| 正面 | ・シンメトリ(左右対称)を際立たせたいときに適している ・落ち着きや格式を感じさせる ・正面性の強い建築物(神社・学校・ホテルなど)と相性が良い |
| 俯瞰 | ・広がりのある表現になる ・空間全体の配置や動線を理解しやすい ・街並みや広い室内を一目で把握できる |
| 仰瞰 (虫瞰) | ・迫力を引き立てられる ・建物の高さやスケール感を強調しやすい ・高層ビルや吹き抜け空間の迫力を表現できる |
表現したい印象や雰囲気に合わせて、アングルを選ぶことがポイントです。
アイレベル(目線の高さ)
アイレベル(目線の高さ)は、空間の見え方を自然に調整するために欠かせない基準です。目線の高さによって、建物や内装空間の印象や見え方、伝わる情報が変化します。
| 目線の高さ | 特徴 |
仰瞰 (虫瞰) | ・建物が大きく見え、迫力が出る ・縦方向のラインが強調され、スケール感が増す ・床面はほぼ見えない ・階段・吹き抜け・ビルなどに向く |
| アイレベル | ・自然で現実に近い見え方になる ・広さ・高さ・奥行きのバランスがよい ・室内も外観も、違和感なく伝わりやすい ・プレゼン資料や住宅店舗などのパースに適している |
| 鳥瞰 | ・空間全体のレイアウトや動線が一目でわかる ・街並みやエントランスホールなどの広範囲を把握しやすい ・俯瞰よりさらに高く、敷地全体のスケールを伝えられる ・奥行きや空間構成などの説明に向いている |
同じ建物や内装空間でもアイレベルを上下に動かすと雰囲気が変化するため、建築パースの対象や目的に合わせた調整が大切です。
添景
添景は、建築パースに生活感やスケール感を与える重要な要素です。具体的には、人物や植物、家具などがあります。建築パースに添景を入れることで、建物の大きさや内装空間の用途などがイメージしやすくなり、リアルな印象を持たせられるのが特徴です。
例えば、人物を添景として入れると空間の高さや広さが伝わりやすく、植物や家具を配置すると暮らしのイメージも自然に想起されます。ただし、添景が多すぎると主題がぼやけてしまうため、あくまで“引き立て役”として使うのがポイントです。
添景は、建物や内装空間の魅力を自然に見せるためのサポート役として欠かせません。
建築パースの構図の取り方を検討しよう
建築パースの構図の取り方で、建物や内装空間の印象が大きく変わります。建築パースの用途や見せたいポイントなどに合わせて構図を工夫し、魅力をよりわかりやすく伝えましょう。
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