パースとは?パースの種類や制作方法、メリットを詳しく解説

内観パース

建物や空間の完成イメージを、図面だけで正確に伝えるのは難しいものです。そんなときに役立つのが「パース(透視図)」です。

パースを使えば、設計段階でも建物の立体的な形状や光の入り方、素材の印象などをリアルに表現できます。

この記事では、「パースとは何か?」という基本から、主な種類・制作方法・依頼する際のメリットまでをわかりやすく解説します。パース制作の依頼を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

パースとは

内観デザイン

パースとは、建築やデザイン分野で使われる「透視図」のことです。英語の「Perspective(パースペクティブ)」が語源で、物体を立体的に奥行きや距離感を感じさせるように表現する技法を意味します。

建築においては、建物の完成イメージをリアルに伝える図として活用されます。平面図や立面図では伝わりにくい空間の広がりや素材の質感、光の演出などを一目で理解できるのがパースの特徴です。

また、パースはクライアントや施工業者との打ち合わせでも重要な役割を果たします。言葉や図面では伝わらない「空間の雰囲気」を共有できるため、完成後のイメージのズレを防ぎ、より正確な意思疎通が可能になります。

パースの種類

内観デザイン

パースの種類は、視点の取り方や表現の目的によってさまざまです。奥行きを一方向から表現する方法や、建物の角を中心に立体感を出す方法など、構図によって印象は大きく変わります。

また、建物の外観や室内空間、上空からの眺めなど、描く対象によっても分類されます。ここでは、それぞれの特徴や活用シーンをわかりやすく紹介します。

一点透視法

一点透視法とは、奥行き方向の平行線が一つの消失点に収束する構図のことです。真正面から対象物を見る構図に適しており、空間の奥行きを強調するのに向いています

たとえば、廊下やリビングの奥に視線が自然に引き込まれるように見せる描き方が一点透視法です。

建築パースでは、部屋の中央に立って正面を見ているような視点を表現したい場合に多く用いられます。遠近感を直感的に伝えやすく、初心者でも理解しやすい透視法です。

二点透視法

二点透視法とは、左右に二つの消失点を設けて描く構図のことです。建物の角を中心にした視点から描くため、正面と側面の両方を立体的に表現できるのが特徴です。

建築パースや漫画の背景など、空間の奥行きやボリューム感をリアルに見せたい場面でよく使われます。

視覚的なバランスが取りやすく、建築物や家具、箱など形がはっきりした物体を自然な印象で描ける手法です。

三点透視法

三点透視法とは、左右の二つの消失点に加えて、上下方向にもう一つの消失点を設ける描き方です。

見上げたり見下ろしたりする構図を描くときに使われ、より迫力のあるダイナミックな視点を表現できます。

パースの中でも特に立体感とリアリティに優れており、高層ビルやタワーなど、縦のラインが強調される建物を描く際に最適な手法です。

外観パース

外観パースは、建物の外観全体を立体的に描いた完成予想図です。周囲の環境や道路、植栽なども含めて描写することで、建築物が立つ風景との調和や存在感を伝えられます。

また、昼と夜での光の表情を変えて描くと、よりリアルで具体的な雰囲気をイメージしやすくなります。

内観パース

内観パースは、建物内部の空間を表現するパースです。床・壁・天井・窓・家具などの要素を含め、素材感や照明効果を反映させながら室内の雰囲気を伝えます。

インテリアの配置や光の入り方によって、住まいや施設としての使い勝手や居心地も視覚的に感じられるようになります。

鳥瞰(ちょうかん)パース

鳥瞰パースは、少し高い視点・上空視点から敷地および建物全体を眺める構図のパースです。敷地配置、建物の関係性、周辺環境まで含めて広域を見渡せるため、プロジェクト全体を俯瞰して伝えるツールとして役立ちます。

特に都市開発や商業施設、住宅団地の開発など、広い範囲を扱う設計でその全体構成を示す際に効果的に活用されます。

パースの呼び方・制作方法

建築やインテリアの分野で使われるパースには、用途や描き方によってさまざまな呼び方があります。

手書きやCG、3Dなど制作手法によって仕上がりの印象が変わるため、目的に合わせて選ぶことが大切です。ここでは、代表的な種類と制作方法を紹介します。

建築パース

建築パースとは、建物の完成後の姿を立体的に描いた予想図のことです。外観や内観の雰囲気をリアルに再現し、設計図では伝わりにくい空間の広がりや素材の質感を視覚的に表現します。

建築業界では、プレゼンや顧客説明の際に欠かせないツールとして活用されています。

インテリアパース

インテリアパース(内観パース)は、建物の内部空間を立体的に表現するパースです。家具の配置や照明などを描き込み、室内全体の雰囲気を伝えられます。

住まいや店舗などの空間デザインを検討する際に、使用イメージを明確にする目的で利用されます。

手書きパース

手書きパースは、紙・鉛筆・ブラシ・ペン・水彩などを使ってアナログで制作する方法です。

CGとは異なり、柔らかく温かみのある表現が特徴で、初期段階のデザイン提案やイメージ案の共有に適しています。建築家やアーティストの個性が出やすいのも魅力のひとつです。

CGパース

CGパースは、コンピューターソフトを使って制作するパースです。正確な図面データをもとに建物を立体的に再現でき、素材や光の反射などもリアルに表現できます。完成度が高く、広告やプレゼン資料にも多く利用されています。

合成パース

合成パースは、実際の写真とCGパースを組み合わせて制作するパースです。実際の風景写真を使うことで、より現実に近いリアルな仕上がりになり、完成後のイメージを具体的に伝えられます。

建設予定地の周辺風景や既存の建物と合成することで、CGだけでは伝わりにくい実際の暮らしや景観の雰囲気をわかりやすく表現できるのが特徴です。

また、景観条例の規制がある地域では建物が周囲の環境とどのように調和するかを視覚的に確認できるため、より説得力のある資料として活用できます。

パースのメリット

内観デザイン

パースを用いることで、図面では伝えきれない完成イメージをわかりやすく共有できます。

クライアントとの打ち合わせや広告など、さまざまな場面で活用できるのが大きな魅力です。ここでは、パースのメリットを紹介します。

完成イメージを具体的に伝えられる

パースを使うことで、建物や空間の完成イメージを立体的に把握できます。色・素材・光の当たり方までリアルに再現できるため、設計者と施主のイメージのズレを防ぎ、納得感のある提案が可能になります。

広告に活用できる

完成前の建物をリアルに描けるパースは、広告や販促資料としても効果的です。建物の完成イメージを伝えられるため、具体的に想像しやすくなり、集客・販売促進につながります。

広告に建築パースを取り入れることで、物件や建築計画の魅力をよりわかりやすく伝えられ、多くの人の関心を引くことが可能です。

修正や調整がしやすい

パースを作成すると、設計の段階で空間のバランスや構造上の課題を事前に確認できます。

特にCGや3Dパースでは、デジタル上で壁材やカラーを自由に変更できるため、修正や調整がスムーズです。建築前に問題点を把握し、より精度の高い設計へと仕上げられます。

まとめ

パースは、建築やデザインにおける完成イメージを正確に伝えるために欠かせないツールです。

平面図では伝わりにくい立体感や光の印象を表現できるため、設計の方向性を明確にし、クライアントとの共有をスムーズにします。

さらに、広告やプレゼン資料としても効果的で、プロジェクトの魅力を視覚的に伝えられるのが大きなメリットです。

パース制作を依頼する際は、建築の理解と表現力の両方を兼ね備えた制作会社を選ぶことが大切です。

シカクビューでは、完成イメージを立体的に可視化し、設計者やデザイナーの意図を正確に表現しています。

CGパースの制作はもちろん、デザイン設計・作図・照明シミュレーション・手描きパースなど、お客様のニーズに合わせた最適なデザインをご提案します。

内装や照明に精通したCGパース会社を探している方は、ぜひ一度シカクビューにご相談ください。

お問い合わせは、こちら